日本では五円硬貨の素材として使用されており、仏具にも多用される他、紙幣の印刷機や弾薬の薬莢など幅広い用途に使われている。
黄銅は銅と亜鉛の合金で成形性は良好だが、加工硬化が激しい点に注意を払う必要があり、多工程での加工においては中間焼鈍を要する場合がある。

また、材質の選択にあたっては成形性に優れた質別Oまたは1/4Hを選ぶのがよく、特に絞り加工においては質別Oを採用するのが最適である。

黄銅板の主な種類と特色
C2600 展延性や絞り加工性に優れており、めっき性も良好で端子コネクターなどに使用される。
C2680 展延性や絞り加工性に優れており、めっき性も良好でスナップボタンやカメラ、魔法瓶などの深絞り部品に使用される。
C2720 展延性や絞り加工性に優れており、主に浅絞り用の材料として使用される。
C2801 展延性があり強度が高いため、打ち抜き又は曲げ加工により配線器具部品やネームプレートなどに使用される。

黄銅板の絞り加工事例

外形が他部品との嵌め合い箇所になるため、相手部品の寸法次第で外径寸法を調整する必要が生じる繊細な製品です。
なお、黄銅は加工油等が付着した状態で放置すると短時間で変色を起こすことがあるため、加工後は速やかに脱脂洗浄を行い、洗浄液が残らないよう確実に乾燥させる必要があります。

材質:C2600、板厚:t=0.8
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