プレス金型とは

プレス金型とは

金型は金属やプラスチックなどの材料を使う工業製品を大量生産するのに用いられる特殊な工具で、同じ形状を転写する方法で加工するための原形となります。

金型を用いる主な加工方法として、プレス・鍛造・鋳造・板金などがあり、均一な品を大量に作ることができるため、近代産業において重要な役割を担っています。この金型での生産は、加工速度の向上や品質の安定、製造原価の低減を図ることができることから、工業製品の量産には欠かせません。

ちなみに金型はドイツで「生産工学の王」とも呼ばれており、自動車や電気製品、精密機器の進歩と発展に重要な役割を果たしています。

プレス加工用の金型は、プレス機械に取り付けた金型で板状の材料を挟み込み、圧力を加えて被加工材を変形させることにより、必要とされる形を作り出します。
このプレス金型を用いる加工方法には、「抜き加工」「曲げ加工」「絞り加工」「成形加工」「圧縮加工」など多様な種類があります。

なお、プレス金型は一塊の金属部品で成り立っている印象もあるかと思われますが、実際には様々な機能を持つ複数の部品によって構成されています。

  • 金型の基礎部分で生産する機械への取付箇所となる部品:パンチホルダ、ダイホルダ
  • 製品に接触して成形に直接関わる部品:パンチ、ダイ
  • 製品を成形する部品を組み込む部品:パンチプレート、ダイプレート
  • 材料や製品の位置を決める部品:位置決めピン、ガイドプレート、パイロットパンチ
  • 金型から製品やスクラップを排出する部品:ストリッパ、ノックアウト

この他にも、プレスの上下動作を他の角度に変えるカム機構、異常を検出して機械を停止させるセンサーや金型冷却装置など、様々な機構が組み込まれます。

このような金型を構成する各部品がそれぞれの役割を果たして効率よく機能するためには、用いられる素材の選択が重要になります。
素材の選択においては、耐摩耗性・機械的性質・熱処理性・機械加工性などの性能を確認した上で、各部品が担う役割に応じて選定をします。

  • 一般構造用圧延鋼材(SS400):普通鋼や生材とも呼ばれる鋼材で、熱処理を行わずにパンチホルダやダイホルダなどに使用する
  • 機械構造用炭素鋼鋼材(S10C~S58C):一般構造用圧延鋼材より炭素含有量が多いため強度が高く、主にパンチプレートやストリッパに用いられる
  • 炭素工具鋼鋼材(SK1~SK5):SK3やSK5を使うことが多く、高精度を要する部品には歪み防止のため熱処理をせずに使用する
  • 特殊工具鋼鋼材(SKS3/SKS93):熱処理性や耐摩耗性に優れ、切削性も良いことから多く使われ、主にパンチやダイに用いられる
  • ダイス鋼(SKD11):特殊工具鋼よりさらに耐摩耗性に優れ、熱処理やワイヤ放電加工での変形が少ないなど使い勝手が良いため、幅広く用いられる
  • 高速度工具鋼鋼材(SKH51):ハイスとも呼ばれ、耐摩耗性や耐熱性及び靭性に優れる鋼材でコアピンやエジェクタピンなどに用いられる
  • 超硬合金(WC-Co):金型材料の中で最も耐摩耗性に優れ、研削や放電加工も容易に行えることから、耐摩耗性を要する部品に多用される

また、プレス金型は加工する製品の形状等条件により適する形式が複数あり、それらは主に以下の4種類に分類することができます。

  • 順送型(プログレッシブ型):1つの金型内に複数の工程を等間隔で配列し、コイル材に製品がつながった状態で送りながら連続加工する金型
  • トランスファ型:1台のプレス機械に単発型を配列し、フィードバーで製品を次工程へ搬送して連続で加工をする一般とは異なる機構を備えた金型
  • 単発型:人が手作業で材料や半製品を出し入れし、各工程を順番に加工していく昔ながらの金型で、機能や構造は比較的単純
  • ファインブランキング型:材料の上下を固定することで、静水圧効果を利用して平滑なせん断面を作り出す精密打ち抜き金型

特に順送やトランスファーによる自動搬送で行われる加工が発展したことにより、高精度な製品を大量かつ高速で生産することが可能となりました。

長野サンコーのプレス金型製造技術

高いプレス金型設計技術

高度な金型設計技術

プレス加工の中で最も難しいとされる絞り加工用の金型において、金型構造を規格化するなど、量産での使用における段取や保守のしやすさにも配慮した設計をしております。
3D-CAD/CAMを利用して設計を行っておりますので、設計変更等のご要望にも即座に対応することが可能です。

設計段階での高度なシミュレーション技術

設計段階においてリスクを徹底的に排除することを基本としており、FMEAの実施により潜在的な故障の原因を体系的に分析することで、不具合防止を実現します。
構造解析や熱解析にも対応しておりますので、構想段階からお客様と連携して技術開発を進めさせていただくことも可能です。

金型製造のための豊富な加工設備

金型を内製するために最新鋭の工作機械を十二分に保有。これにより、短納期対応が可能である上に、万が一量産において金型にトラブルが発生した場合には迅速な修復対応が可能です。
金型製造工場は室温を一定に保つ環境が構築されており、僅かな温度変化が及ぼす工作機械や素材の寸法変動をも排除した機械加工により、高精度な金型が製作されます。

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プレス金型加工設備

金型製造からプレス加工まで完全内製化

金型製造だけの仕事も承りますが、弊社の強みはプレス加工まで一貫して対応している点です。どれだけ優れた金型を製造しても、量産を継続する中では様々なトラブルが起こり得ます。
金型製造からプレス加工までを完全内製化することにより、トラブル発生リスクを最小限に抑え、加工工程全体の責任を担います。

プレス加工品