表面処理鋼板は普通鋼板の欠点である錆の発生を防ぐために、溶融亜鉛メッキや電気亜鉛メッキなどの表面処理が施されているもので、プレス加工後の表面処理工程が省けることから、リードタイム短縮やコスト削減などに寄与するコストパフォーマンスの高い材料である。

なお、表面処理鋼板のプレス加工において注意を払うべき点として、以下のような事項がある。

  • 皮膜の損傷及び剥離による成形品の表面欠陥
  • 皮膜の損壊による耐食性の劣化
  • 剥離被膜の金型固着による潤滑不良
  • 機械的特性の変化による成形性低下
表面処理の主な種類と特性
電気めっき 入手性が良く加工性にも優れるため、家電や自動車向けなどに広く使われているが、摩擦係数が比較的高く被膜が剥離しやすい。
溶融めっき 比較的低コストで耐食性に優れるが、皮膜が脆くパウダリングが出やすいため、加工後の表面状態に注意を払う必要がある。
塗装 塗膜の種類により特性は様々であるが、大概は摩擦係数は低いが皮膜が脆いため、変形度合の大きな加工には不向きである。

表面処理鋼板の絞り加工事例

中央のバーリング部分は軸受け箇所となるために大変厳しい公差が設定されている上、内径の寸法精度を出すためにしごき加工を入れていることから、素材板厚がバラつくとバーリング高さが大きく変化するため、適正な加工条件の設定が必要な製品です。

材質:SECE、板厚:t=0.8
※画像は、拡大、縮小、回転が可能です。表示されるまでに時間がかかる場合があります。

Loading file